専門士による就学前説明会について

専門士による就学前説明会について
日時令和7年10月16日(木)
場所谷山市民会館
演題就学先の決定に向けて
~それぞれの子どもの特性に応じた就学とは~
講師南特別支援学校支援部主任 宇都宮淳人先生
対象「育ち」年中児の保護者
参加者16名
内容就学を控えるお子さんの「特性」や「就学先の選び方」について、具体的なお話を伺いました。

(1)鹿児島南特別支援学校の紹介

宇都宮先生からは、特別支援学校の教育内容や支援体制についてもご紹介いただきました。子ども一人ひとりの特性に応じた学びの場があることを、保護者の皆さんも改めて知る機会となりました。

(2)子どもの“特性”と“困り感”を理解する

文部科学省の調査によると、通常の学級に在籍する児童のうち約8.8%が、発達障害やそれに近い特性を持っているとされています。
宇都宮先生は、「発達障害は“個性”であり、理解と支援を必要とする特性」と話されました。
子どもたちは、自分の「困りごと」に気づけなかったり、言葉にできなかったりすることがあります。だからこそ、“大人が気づいて寄り添う感性” が大切です。

 (3)特性ごとの特徴と支援のポイント

  • ADHD(注意欠如多動症)
    落ち着きがない、すぐ動いてしまうなど「自己コントロールの難しさ」が特徴です。叱責より    も、先の見通しを伝えたり、行動の見通しを持たせる支援が効果的です。
  • ASD(自閉スペクトラム症)
    対人関係の難しさや感覚のアンバランス、変化への不安などが見られます。
    「どうすればいいか」が分からず困ることも多く、理解の手助けや環境調整が必要です。
  • LD(学習障害)
    知的な遅れはなくても、読む・書く・聞く・話すなど特定の学習分野に苦手さがあります。
    「努力が足りない」と誤解されやすいため、早期に気づき、苦手を補う工夫が大切です。

(4)就学先を考えるときに大切なこと

宇都宮先生は、「学校を“比較”するのではなく、お子さんにどんなふうに育ってほしいかを軸に考えてほしい」とお話しされました。

★今のお子さんの姿(強みと課題)を客観的に把握する
★家庭だけでなく、園や事業所の意見も参考にする
★1年後・3年後の姿を思い描きながら環境を選ぶ

また、学校見学は早めに行い、気になることは学校に直接問い合わせてみることを勧められました。

 (5)特別支援教育(各教育の場)について ~それぞれの学びの場と支援の目的~

自閉症・情緒障害特別支援学級とは

集団生活になじむことや、友達との関わりに難しさを感じるお子さんに対して、一人ひとりの特性や得意なことを理解しながら、
「できた!」という自信(自己有能感)を育てていく学級です。
 自分の気持ちを上手に表したり、行動を整えたり、人との関係づくりができるように支援します。授業内容は基本的に通常の学級と同じ教科を学びながら、一人ひとりのペースや課題に合わせて、きめ細やかな指導を行っています。

知的障害特別支援学級とは

知的な発達に遅れがあり、言葉や理解の面で少し支援が必要なお子さんが対象です。
 日常生活の中で援助が必要な部分をサポートし、社会の中で自分らしく生活していく力を育てます。
 生活科や国語・算数などを、発達段階に合わせて学びながら、生活の中で役立つ力や、人との関わり方を身につけていくことを目指しています。

通級指導教室とは

通常の学級に在籍しながら、特定の困りごとに応じて別の教室(別の学校)で特別な支援(個別指導)を受ける教育の形です。
 対象となるのは、言葉の発達、情緒、視力、聴力などに課題がある、比較的軽度の障害があるお子さんです。
 普段の授業は通常学級で受けながら、必要に応じて「自立活動」や「学習の補充指導」を受けます。
 鹿児島市では、通級指導教室を設置している学校がそれぞれ異なるため、保護者の方の送迎が必要な場合もあります。

特別支援学校とは

視覚・聴覚・知的・肢体不自由・病弱などの障害があるお子さんを対象にした学校です。
 一人ひとりの状態に合わせて教育内容や方法を工夫し、「自分でできることを増やす」「社会の中で自分らしく生活する」ことを目指しています。
 専門的な知識や経験を持つ先生方が、それぞれの子どもに合った支援を行います。

まとめ

どの学びの場でも大切にしているのは、「子どもが自分らしく成長できるように支えること」です。お子さんの特性や得意なことを活かしながら、自信をもって生活できるように、学校とご家庭が協力して温かく支援していくことが何より大切です。先生からは、「特性を変えるのではなく、理解し、支援していくことが大切です。」というメッセージをいただきました。今回の講話は、就学先を選ぶ際の具体的な視点を持ち、わが子の“今”と“これから”を見つめ直す貴重な時間となりました。今後も、保護者さまが安心して就学を迎えられるよう、情報提供の場を設けてまいります。

令和7年度 専門士による就学に向けた保護者説明会 アンケート結果

本年度は、就学に向けた不安や疑問を早期に解消することを目的に「専門士による保護者説明会」を開催しました。
当日は16名の保護者の皆様にご参加いただき、就学先の選び方や支援制度についての情報提供を行いました。アンケートでは多くの学びや安心感を得られたとのご意見をいただきましたので、結果を報告いたします。

参加者満足度

参加者16名のうち、すべての保護者から「大変良かった」または「良かった」との評価をいただきました。

  • 大変良かった:14名
  • 良かった:3名

参加者の声(抜粋)

  • 年中のこの時期に聞くことができ、とても参考になりました。
  • 支援学級や通級指導教室について理解が深まり、安心して準備ができそうです。
  • 早めに情報を得られたことで、不安が軽くなりました。
  • 専門的な内容を分かりやすく説明していただき、具体的に想像ができるようになりました。
  • 他の保護者と交流できたことも良い機会になりました。
  • 子どもの「困り感」に寄り添うことの大切さに気づくことができました。
  • 就学に向けて何から始めればよいかが分かり、今後の行動計画が立てられそうです。

(※アンケートにはその他にも多数のご感想をいただきました。全文掲載をご希望の場合は別途ご案内いたします。)

まとめ

本説明会を通して、多くの保護者の方から「早めに知ることができて良かった」「不安が和らいだ」との声をいただきました。今後も保護者の皆様と連携し、お子さまの就学準備を丁寧に支援してまいります。ご参加・ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。

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