発音や話しことばだけでなく、私たち言語聴覚士(ST)には、字の読み書き方の相談も多く寄せられます。特に一年生になると、ひらがな、カタカナ、漢字と、たくさんの種類の文字を覚える、授業や機会が増えてきます。「うちの子、漢字がなかなか覚えられなくって…」などの相談が増えるのもこのころです。そこで、今回は私たち言語聴覚士が行っている「漢字の書き方・覚え方」の支援についてお話したいと思います。
✍漢字に親しみを持ってもらう
子ども達に漢字を覚えてもらう…とした時に、どんな方法を思い浮かべますか?
『漢字練習帳にひたすら書き取り…。』『とにかく書いて書いて覚える‼』
これ、実は漢字を好きでなくなる要因の一つになってしまうことがあるのです。
もちろん書いて覚えることが得意な子もいますが、ひとり1人、覚え方にも得意・不得意があります。そのため、次の工夫をして支援をしています。
①音で表現しながら覚えてみよう
これは、漢字のパーツひとつずつに名前を付けて、歌や声に出して覚える方法です。 例えば、「空」と言う漢字。これを、細かに分解してみます。「ウ」/う/、「ル」/る/「エ」/え/となります。これを口に出しながら、もしくは歌に乗せて言ってみます♪このように、漢字覚え替え歌のようにして、「耳から聞いて覚える方法」で覚えていく子もいます。(イラスト)

②絵や視覚的イメージを頼りに覚えてみよう!
漢字には意味がある、と言うふうに最初は習います。「山」と言う漢字はイラストのような成り立ちですね。この絵から徐々に崩れて最終的に「山」となります。 こういうふうに、イラストや絵を見せ、漢字の成り立ちを見ながら書くと覚えやすい子もいます。

③ゲーム感覚で覚えてみよう!
楽しく学習できて、尚且つ覚えられれば、それに越したことはありません。支援の中では、文字や親しみを持ってもらい、楽しみながら行うことも一つの手段としています。例えば、 漢字のカードと、透明のシートに模様を描いたものを準備します。この2枚を重ねて、「隠れている漢字はなにかな」と問題を出して、分かったら書いてもらいます。お互いに問題を出し合っても楽しいですね。


最後に、「頑張っているね✍!」の一言を。
お子様が『ていねいに取り組めている』ならそれで充分。
完璧を目指す事よりも、まずは「書くこと自体を楽しむ」ことを、私たちは支援の中で一番大切にしています。「字を書くってたのしいな」「字を書いて人に伝わるっていいな。」と思ってもらえるよう、ご自宅でも温かい声掛けで応援していきましょう。