専門士による保護者向け講話・座談会について

専門士による保護者向け講話・座談会について
1日時令和7年11月29日(土)
①講話:13時30分~15時00分(90分)
②座談会:15時05分~15時40分(35分)
2場所谷山サザンホール
(鹿児島市谷山中央1丁目4360)
3講師特別支援教育コーディネーター
(育ちスーパーバイザー)
4演題「感情に寄り添う子育て~
〈好き〉(信頼関係)は最強!」
5対象「育ち」の保護者
6内容「なにを言われたかよりも、誰に言われたか」という言葉のとおり、子どもの成長には“正しい指導”だけでなく、『大人との信頼関係(=好きの気持ち)』が大きく影響することを教えていただきました。

事例から学ぶ「子どもの感じ方」と寄り添い

① 感情が強く出る男の子

高学年・ASDのある男の子。校庭で友達とぶつかった際、
「相手を見てから」激怒した、というエピソードが紹介されました。

実はその友達とは2週間前にトラブルがあり、怒りの背景には「関係性」が影響していたとのこと。
大人が「そのくらいで…」と思う出来事でも、子どもにとっては大事な感覚や経験が積み重なっていることがあります。

大人の価値基準で測らず、子どもの基準で考えることが大切だと実感させられる事例でした。

② かまってしまい、トラブルが増えてしまう男の子

人が大好きでお調子者の男の子。つい行きすぎてしまい、指導されると、今度は相手に極端に優しくなる一面も。

事例①の男の子とは過去のトラブルがあり、たびたび思い出してはケンカになる関係でしたが、ある日、②の男の子がケガをした時、①の男の子が迷わず介助してくれたそうです。

→ 大人が「怒りやすい子」と決めつけてしまっていたことに気づかされ、
   子どもの本当の姿は一面だけではわからないことを教えてくれる出来事でした。

③ 固執性が強く、集団が苦手だった男の子

単語レベルの発語で、教室に入ることも難しかった男の子が、高学年になった今では集団学習にも参加し、自らお手伝いをしてくれるまでに成長。

その背景には、日常をともに過ごす大人たちとの関係の中で覚えた「大好き」という一言があったそうです。

→ “教えたから覚えた”のではなく、
   安心できる関係のなかで自然に育つ力があることを感じさせる事例でした。

行動には必ず理由がある

授業中に席を立ったり、突然走り出したり——
一見「困った行動」に見える出来事も、実は

  • 扉を閉めに行った
  • ティッシュを届けに行った
  • 落ちた靴を拾いに行った

など、本人なりの“優しさ”や“こだわり”が理由になっているケースが多くあります。

大人側がゆとりを持って見守ることで、子どもの真意が見えてくることを教えていただきました。

感覚(五感+α)の違いを知る

ASDの特性として触れられる、
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の過敏さ
五感以外の感覚への反応、相貌失認など、“見えにくい特性”についても丁寧に解説がありました。

視覚情報の「図と地」が混乱し、授業では大事な部分より日付が気になってしまう、などの例も紹介され、子どもが見ている世界は大人とは違うことを理解することの大切さを学びました。

子どもの言葉と感情

言葉には感情が乗りやすく、本来伝えたい“意味”が届かなくなることがあります。

  • 意味を伝えたいときは、感情を抑えて
  • 気持ちを伝えたいときは、感情もしっかり乗せて

という切り替えを意識するだけで、子どもとのコミュニケーションが変わることを教えていただきました。

泣いている2人の子への声掛け例も紹介され、
「裁判官」ではなく「探偵」になること
(=善悪で判断せず、“なぜ?”を見つける)
が、子どもの心をひらく寄り添い方だと学びました。

まとめ

今回の講話では、改めて

🌟子どもの成長は、正論よりも「寄り添ってくれる大人」との関係が育てる

というメッセージを強く感じました。

子育てをしていると、
「これで良いのかな?」、「どう関わればいいんだろう?」
と迷うことも多いものですが、

先生は、
“完璧でなくて大丈夫。寄り添おうとする姿勢こそが子どもに伝わる”
と、優しく背中を押してくださいました。

今後も、保護者の皆さまとともに、
お子さんの「好き」と「安心」を育んでいきたいと思います。

保護者の声

今回の講話を通して、多くの保護者の皆さまから「自分の子育てを振り返る良い機会になった」との声が寄せられました。

「“早く”ではなく“いそいで”に言い換えていたものの、大人と子どもの時間感覚の違いを改めて実感した」「寄り添うためには、大人の心のゆとりが必要だと感じた」といった、日々の声掛けや関わり方を見つめ直す感想が多く寄せられました。

また、「同じことを何度も伝えてくる子に、落ち着いて向き合ってみようと思えた」「感情を大事にすることで、自分の関わりにも自信が持てた」といった、実践につながる気づきも多く聞かれました。

「内容が分かりやすく、ワークを通して理解が深まった」「知っていたつもりの情報も整理できた」「保育現場でも活かしたい」など、講話自体への評価も高く、学びを日常に生かしたいという前向きな声が多数挙がりました。

講話の内容が、これからのお子さんとの関わりに少しでも力となれば嬉しく思います。

保護者座談会

講話後の座談会では、それぞれのお子さんの成長や日々の悩みを共有しながら、あたたかな時間となりました。
子どもたちの「ちょっと困ったこと」や「うれしかった成長」、家庭での思わずクスッとするエピソードなど、あたたかい話題がたくさん出ました。

家で見せる姿は“安心のしるし”

園ではしっかりしていても、おうちでは甘えたりわがままになったり…。
それは「ここなら大丈夫」と思えるからこそ。
比べすぎず、ゆっくり見守っていきましょうね、と話し合いました。

成長はゆっくり波のように

ことばや排泄、行事での頑張りなど、できるタイミングは本当にそれぞれ。
環境や関わりの力を借りながら、子どもたちは確実に前へ進んでいるね、と皆でうなずき合いました。

気になる行動もサインのひとつ

耳をふさぐ、舐めてしまう、爪を噛む…そんな行動も、不安や戸惑いを伝える子どもなりの方法。
まずは気持ちを受け止めながら、代わりの方法を一緒に探していこうというお話がありました。

就学への心配ごとも共

「どんな環境が合うのかな」「慣れるまでが不安…」といった声も聞かれました。
無理なく通える場所を一緒に考えていくこと、必要があれば進路の見直しもできることなど、安心につながるアドバイスもいただきました。

全体を通して、
“うちの子だけじゃないんだ”
“みんなで見守っていけるんだ”
そんな気持ちになれる、あたたかな座談会となりました。

座談会に参加された保護者の皆さんの声

今回の座談会では、日頃の悩みや気になること、そしてお子さんの成長について、保護者の皆さん同士でゆっくりお話をすることができました。

  • 「他のご家庭の話を聞き、共感することが多かった」「“うちだけじゃないんだ”と思えて安心した」という声が多く聞かれました。
  • 先生からのアドバイスが参考になり、気持ちが軽くなったという感想も寄せられました。
  • 同じ立場の保護者の経験や、他のお子さんの成長エピソードを聞くことで、「自分の子の育ちを、もっと温かく見守っていこうと思えた」というコメントもいただきました。
  • 普段、他の家庭の話を聞く機会が少ない中で、「とても貴重な時間だった」「これからの環境づくりのヒントになった」という前向きなお声もありました。

保護者の皆さんの、子どもたちの成長を一緒に支えていきたいという優しい気持ちが伝わる座談会となりました。

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